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2022年10月1日に施行開始!産後パパ育休について

公開日:2022年12月28日
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時代の流れと共に、労働と生活の関係も変化しています。 育児に関しても同じです。育児休業はもはや、女性労働者だけが取得するものではありません。男性労働者が育児休業を取得しやすいよう、新しい制度も設けられました。

この記事では、2022年10月1日から施行がはじまった「産後パパ育休」について解説します。

産後パパ育休とはどういう制度か

産後パパ育休とは何か

「産後パパ育休」とは、育児・介護休業法の改正によって、令和4年(2022年)10月1日に施行がはじまったばかりの新しい制度です。 子の出生直後という、男性の育休取得が特に必要とされる時期に、より柔軟に取得できるようにと設けられました。

正式名称は「出生時育児休業」ですが、この記事では「産後パパ育休」という呼び方を用います。なお、次項でご説明する「育児休業」とは別に取得できます。

産後パパ育休は、原則として、男女労働者が子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる休業です。

ここで言う「子」には、実子だけでなく養子も含まれます。要は、労働者と法律上の親子関係があればよいのです。
したがって、下記のような場合も、産後パパ育休の対象となります。

  • ●特別養子縁組のための試験的な養育期間にある子を養育している
  • ●養子縁組里親に委託されている子を養育している
  • ●その労働者を養子縁組里親として委託することが適当と認められるにもかかわらず、実親などの反対により、その労働者を養育里親として委託された子を養育する
育児休業とはどう違うのか

「育児休業」とは、原則として、1歳に満たない子を養育する男女労働者が取得できる休業です。
産後パパ育休と同じように、労働者と法律上の親子関係があれば、実子か養子かは問われません。男性労働者・女性労働者、共に取得できる点も共通しています。

ちなみに、育児休業も育児・介護休業法の改正によって、令和4年(2022年)10月1日から変更が加えられました。
育児休業を取得できる期間が、原則として、子が1歳(最長で2歳)になるまでという点は変わっていません。

ですが、2022年10月1日からは、育児休業の分割取得が可能になりました。2回に分割して、育児休業を取得することができるようになったのです。 子が1歳以降の育児休業の延長についても、柔軟化されました。
子が1歳以降の育児休業の再取得についても、特別な事情がある場合に限られるものの、認められるようになりました。

産後パパ育休を取得するには

産後パパ育休を取得できる労働者の範囲

産後パパ育休を取得できる労働者は、原則として、以下の要件を満たす男女労働者です。

  • ●出生後8週間以内の子を養育する
  • ●産後休業を取得していない

注意していただきたいのは、産後パパ育休という通称にもかかわらず、男性労働者のみならず女性労働者も取得できる点です。

とはいえ、 産後休業を取得した労働者は産後パパ育休を取得できませんので、主に男性労働者が取得することにはなるでしょう。女性労働者に対しては、労働基準法第65条で「産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない」と定められているからです。

ですが、前述したとおり、養子であっても産後パパ育休の取得は可能です。したがって、養子縁組をした場合であれば、女性労働者も産後パパ育休を取得できることになります。

逆に、以下に該当する労働者は、産後パパ育休を取得することができません。

  • ●日々雇い入れられる労働者
  • ●労使協定で定められた一定の労働者

有期雇用労働者であっても、産後パパ育休を取得可能です。ただし、取得を申し出る時点において、次の要件を満たしていなくてはなりません。

  • ●子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から起算して、8週間を経過する日の翌日から6カ月を経過する日までに、労働契約期間が満了して更新されないことが明らかでないこと
産後パパ育休の取得の申し出

産後パパ育休を取得するためには、労働者がその旨を事業主に申し出る必要があります。

産後パパ育休は2回に分割して取得できますが、その場合も、申し出はまとめてしなくてはなりません。まとめて申し出がなければ、事業主は後の申し出を拒否できるとされていますので、ご注意ください。

産後パパ育休の対象である子について、労働者が産後パパ育休を2回取得している場合、あるいは産後パパ育休を取得した日数が28日に達している場合は、その子の産後パパ育休はもう取得できません。

産後パパ育休の取得を申し出る期限ですが、原則として、産後パパ育休を開始しようとする日の2週間前までに申し出なくてはいけません。これより遅れたときは、事業主が一定の範囲で産後パパ育休の開始日を指定することが認められます。 ただし、労使協定で、雇用環境の整備など一定の事項について締結している場合は、申し出の期限を2週間超から1か月以内で定める日とすることもできます。

産後パパ育休の申し出を受けた事業主は、産後パパ育休の開始予定日および終了予定日などを、すみやかに労働者に通知しなければなりません。

産後パパ育休を取得している間の取扱い
産後パパ育休取得中に受給できる出生時育児休業給付金とは

産後パパ育休を取得している男女労働者が一定の要件を満たしたときは、雇用保険の「出生時育児休業給付金」を受給できます。

有期雇用労働者であっても要件さえ満たしていれば、出生時育児休業給付金を受給できます。満たすべき要件とは、以下のようなものです。

  • ●雇用保険の被保険者(一般被保険者あるいは高年齢被保険者)であること
  • ●子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、28日以内の期間を定めて、その子を養育するための産後パパ育休を取得したこと
  • ●産後パパ育休の開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は、就業した時間数が80時間以上の)月が12カ月以上あること
  • ●産後パパ育休期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は、就業した時間数が80時間)以下であること

出生時育児休業給付金の支給額ですが、基本的には、以下のように算出されます。

  • ●休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)× 67パーセント

「休業開始時賃金日額」とは、原則として、産後パパ育休の開始前6カ月間の賃金総額を180で除した額を言います。 休業開始時賃金日額には上限額が定められており、令和5年(2023年)7月31日までは、15,190円が上限額となっています。

また、産後パパ育休取得中に、事業主から賃金の支払いがあった場合は、賃金の額に応じて、出生時育児休業給付金の支給額が調整されます。

産後パパ育休取得中の就業

産後パパ育休を取得している間も、労使協定に基づいて、労働者が合意した範囲で就業することが可能です。

これは、労使協定において、産後パパ育休期間中に就業が可能と定めた労働者のみに限られます。 その労働者は、産後パパ育休取得中に就業できる日等(就業可能日等)を、産後パパ育休の開始前日までに、事業主に申し出られます。

就業可能日等は、次のように上限が定められています。

  • ●就業日の合計日数は、産後パパ育休期間の所定労働日数の2分の1以下(1日未満の端数は切り捨てる)
  • ●就業日の労働時間の合計が、産後パパ育休期間における所定労働時間の合計の2分の1以下
  • ●産後パパ育休の開始予定日、または終了予定日を就業日とする場合は、その日の労働時間数は当該日の所定労働時間数未満

産後パパ育休の開始前日までならば、労働者は就業可能日等の変更、または申し出の撤回ができます。産後パパ育休の休業開始後は、特別な事情がある場合に限って、撤回が可能です。

まとめ

業務の内容や職場の雰囲気などから、長期の育児休業が取りにくいという人は少なからずいるでしょう。

そういう人にとっては、分割での取得もできる産後パパ育休は、実にありがたい制度ではないでしょうか。 せっかく設けられた新しい制度です。できるだけ有効に利用することをおすすめします。

サガアサコ
長年のキャリアのなかで、総務・労務関係の実務経験は15年以上に。
社会保険労務士の資格取得済み。現在は、知識と経験を活かして、フリーランスのWebライターとして活動中。
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