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時間単位年休・特別な休暇制度・勤務間インターバル制度について

公開日:2022年10月5日
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「働き方改革」「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は、すでに耳慣れたものになっていることでしょう。 働き方改革を促進するために、休み方改革を促進するための制度も設けられています。
この記事では、時間単位年休・特別な休暇制度・勤務間インターバル制度について解説します。

時間単位年休とはどういうものか

時間単位年休制度の概要

年休(年次有給休暇)とは、労働基準法第39条に基づき、6か月継続勤務して全労働日の80パーセント以上出勤した労働者に対して付与される有給休暇です。

年休は、1日単位での取得を原則としています。ですが、労使協定を締結することによって、年5日を上限として時間単位での取得が可能になります。 年休ですので、もちろん、取得した時間単位年休に応じて賃金が支払われます。

労使協定では、以下の項目について定める必要があります。

  • ●時間単位年休制度の対象となる労働者の範囲
  • もし一部の労働者を対象外にするなら、その範囲を定めます。
    これは、事業の正常な運営のために調整を図るという点から決めるものです。取得目的(育児など)によって対象範囲を決めることは認められていません。

  • ●時間単位年休の日数
  • 年5日以内で日数を定めます。
    もし前年度からの繰り越しがあっても、その繰り越し分も含めて5日以内です。

  • ●時間単位年休1日の時間数
  • 1日分の年休に対応する時間数を、所定労働時間数に基づいて定めます。
    もし日によって所定労働時間数が異なるのであれば、原則として、1年間における1日の平均所定労働時間数を基にして決めます。

  • ●1時間以外の時間を単位とする場合の時間数
  • 1時間以外の時間を単位とするのであれば、その時間数を定めます(2時間、3時間など)。
    ただし、1日の所定労働時間を超えることは認められません。

時間単位年休制度の具体例

時間単位年休制度の具体的な運用を、もう少しくわしく解説しましょう。

時間単位年休1日の時間数は、前述したとおり、それぞれの労働者の所定労働時間によって決まります。
所定労働時間に1時間に満たない端数があるときは、1時間単位に切り上げてから計算します。そのため、所定労働時間に応じて、下記のようになります。

  • ●所定労働時間が5時間を超え、6時間以下の労働者 ⇒ 6時間
  • ●所定労働時間が6時間を超え、7時間以下の労働者 ⇒ 7時間
  • ●所定労働時間が7時間を超え、8時間以下の労働者 ⇒ 8時間

たとえば、1日の所定労働時間が7時間30分で、5日分の時間単位年休が与えられているとします。この場合、時間単位年休1日の時間数は8時間ですので、8時間×5日=40時間分の時間単位年休が付与されます。

また、時間単位年休1日の時間数は、年の途中で所定労働時間が変更されたときは、変更後の所定労働時間に基づくことになります。 たとえば、1日の所定労働時間が8時間から4時間に変わったとします。年休が3日と3時間残っているならば、3日と3/8日残っているとみなし、下記のように扱います。

  • ●変更前 ⇒ 3日(1日あたり8時間)と3時間
  • ●変更後 ⇒ 3日(1日あたり4時間)と2時間(4時間×3/8=1.5時間の端数切り上げ)

特別な休暇制度とはどういうものか

特別な休暇制度の概要

特別な休暇制度(特に配慮を必要とする労働者に対する休暇制度)とは、休暇の目的・取得形態を、労使の話し合いによって、企業で任意で設定できる法定外休暇です。

年休や育児休業などは法定休暇ですが、この特別な休暇は法定外休暇です。そのため、制度の導入は事業主の義務ではありません。ですが、「労働時間等見直しガイドライン」に基づき、普及の促進が図られています。 特別な休暇制度の導入には、労働者の健康や生活に配慮した労働時間の設定なども含まれます。

「特に配慮を必要とする労働者」とは、さまざまな事情により、事業主の配慮を必要としている労働者を指します。 もう少し具体的に言うと、下記に該当する労働者です。

  • ●特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者
  • ●子の養育、または家族の介護を行う労働者
  • ●妊娠中、および出産後の女性労働者
  • ●公民権の行使、または公の職務の執行をする労働者
  • ●単身赴任者
  • ●自発的な職業能力開発を図る労働者
  • ●地域活動などを行う労働者
特別な休暇制度の具体例

特別な休暇制度の具体例をあげてみましょう。代表的な例として、たとえば、下記のようなものがあります。

●病気休暇
長期にわたる治療が必要な疾病など、治療を受けながら働く労働者をサポートするための休暇です。

●ボランティア休暇
労働者が自発的に無報酬で社会貢献活動を行うとき、その活動に必要な期間について取得できる休暇です。

●リフレッシュ休暇
労働者の心身の疲労回復などを目的とする休暇です。

●裁判員休暇
労働者が裁判員などの活動をするとき、その職務を果たすために必要な期間について取得できる休暇です。

●犯罪被害者等の被害回復のための休暇
犯罪行為により被害を受けた被害者やその家族が、被害回復のために取得できる休暇です。

ほかにも、企業によって、多種多様な特別な休暇制度が定められています。 ドナー休暇、資格取得のための休暇、ゴルフ休暇、教育休暇など、ユニークな特別な休暇を導入している企業もあります。

勤務間インターバル制度とはどういうものか
勤務間インターバル制度の概要

勤務間インターバル制度とは、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設ける制度です。

現在、この勤務間インターバル制度の導入は、事業主の努力義務となっています。 そのため、2019年の厚生労働省の調査によると、勤務間インターバル制度を導入している企業の割合は、わずか3.7パーセントに留まっています。

インターバル時間を何時間に設定するかは、企業に委ねられています。 ですが、インターバル時間の設定に際しては、労働者が仕事と生活を両立させられるよう、配慮が求められています。アメリカの研究によれば、睡眠不足が続くと疲労が慢性化していき、判断能力や反応が鈍くなるという実験結果が出ています。 インターバル時間の設定では、たとえば、以下のような点に考慮することとされています。

  • ●労働者の生活時間
  • ●労働者の睡眠時間
  • ●労働者の通勤時間
  • ●交代制勤務などの勤務形態や勤務実態
勤務間インターバル制度の具体例

勤務間インターバル制度の具体的な運用として、下記のような例があげられます。

通常の勤務時間を8:00~17:00(休憩時間を含む)、インターバル時間を11時間とします。17:00~23:00残業したものとして考えてみましょう。

翌日の始業時刻や終業時刻をどのように取り扱うかについては、以下のパターンが考えられます。

●翌日の始業時刻を繰り下げて、10:00に勤務を開始。8:00~10:00は勤務したものとみなす。ただし、この日の終業時刻は17:00とはせず、そのぶん繰り下げる。
●翌日の始業時刻を繰り下げて、10:00に勤務を開始。この日の終業時刻は繰り下げず、17:00のままとする。
●翌日の始業時刻を繰り下げて、10:00に勤務を開始。この日の終業時刻は17:00とはせず、そのぶん繰り下げる。

ほかにも、一定の時刻以降の残業を禁止して、翌日の始業時刻以前の勤務を認めないなどの措置によって、インターバル時間を確保するというやり方もあります。

まとめ

どう働くかとどう休むかは、表裏一体と言えるでしょう。心身の健康を保って働き続けるには、休み方は重要です。

今回ご紹介した時間単位年休・特別な休暇制度・勤務間インターバル制度は、残念ながら、どれも企業に義務づけられている制度ではありません。 もし、今後転職を考えているのであれば、企業を選ぶ際に、これらの制度が導入されているかどうかもチェックしてはいかがでしょう。

サガアサコ
長年のキャリアのなかで、総務・労務関係の実務経験は15年以上に。
社会保険労務士の資格取得済み。現在は、知識と経験を活かして、フリーランスのWebライターとして活動中。
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