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税理士は研修の受講が義務!?内容や受けないとどうなるかを解説

公開日:2023年7月6日
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税理士会の会則により、税理士は研修の受講が義務付けられています。そのため、税理士として働く以上は、所定の研修を受講しなければなりません。どのような研修があるのかと、受講しない場合にどのような扱いになるのか、それぞれ解説します。

税理士には研修受講の努力義務がある

年間36時間以上の受講が求められる

税理士法第39条の2 を参照してみると、「税理士は、所属税理士会及び日本税理士会連合会が行う研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。」との記載があります。この記載だけでは36時間の義務とは読み取れません。しかし、これを根拠として日本税理士会連合会で「税理士会研修規則」と呼ばれる文章に36時間の研修受講が義務付けられました。
なお、研修は自由に受講できるのではなく、税理士会研修規則で対象となる研修についても規定されています。具体的な研修については、後ほど例を紹介します。

研修が免除される条件

研修の受講は義務であり、基本的にはすべての税理士が受講しなければなりません。ただ、以下の条件に該当する場合は、研修の受講が免除されます。

  • ● 負傷又は疾病により療養している場合
  • ● 震災、風水害、火災などの災害にあった場合
  • ● 税理士法第43条後段に規定する報酬のある公職に就いている場合
  • ● 国会議員又は地方公共団体の議会の議員である場合
  • ● 出産、育児、介護などによる場合

免除される条件はいくつも用意されていて、他に優先すべきことがあるならば、免除されると考えて良いでしょう。怪我や病気はもちろん、私的な事情で対応が難しい場合でも免除されるようになっています。
ただ、研修の受講を免除してもらうためには、適切な手続きを踏まなければなりません。書類の提出が必要となるため、その点は認識しておきましょう。

対面ではなくオンラインの選択肢もある

研修といえば対面のイメージがあるかもしれませんが、オンラインの選択肢もあります。特に、新型コロナウイルスの影響もあり、現在はオンラインでの研修が増えている状況です。条件を満たしている研修であれば、オンラインでも受講時間にカウントされます。
また、受講したい研修によっては、対面とオンラインを組み合わせることも可能です。今までのように、研修会場に出向いて受講するのではなく、オンラインで自宅やオフィスから必要な研修を受講できます。

税理士会が開催する研修例

登録時研修

登録時研修は、税理士として登録してから1年以内の税理士を対象として実施される研修です。各種研修の中でも、特に強制力が強いものであり、対象期間に受講できない場合でも翌年の受講が求められます。所属している税理士会で受講しなければなりません。
研修の内容は、開催する税理士会によって少々異なっています。基本的には、税理士制度や関連法規、租税法などについて、大学教授などの専門家が講義してくれると考えておきましょう。複数の講義を少しずつ学習する研修の構成です。
なお、登録時研修は会場での受講が基本でしたが、新型コロナウイルスの影響もあり「マルチメディア方式」に切り替えられています。そのため、インターネット配信やDVDで自己学習した場合でも、研修時間に含められるようになりました。

全国統一研修会

全国統一研修会は、すべての税理士を対象に実施される研修会です。毎年、定期的に実施されている研修で、日本税理士会連合会が定める研修の要件を満たすように実施されます。開催場所は、東京を中心に全国主要都市が選ばれます。
研修の内容は、その年の重要なテーマや税理士事務所の運営にとって重要なテーマが選ばれることが大半です。税理士として、知っておくべきことが集約されています。また、実務につながる「ノウハウ」を理解するためのプログラムも用意されます。

マルチメディア研修

上記でも触れたとおり、現在は対面ではなくオンラインなどでの研修受講が可能となっています。登録時研修にかぎらず、税理士会が主催する研修でマルチメディア研修が増えている状況です。受講対象の税理士であれば、誰でもマルチメディアでの受講が認められます。
すべての研修がマルチメディア研修に対応しているとは限りません、配信されていない研修も見受けられます。ただ、オンデマンド配信されている研修が増え、税理士が自分の都合に合わせて研修を受けやすい環境が整っています。

公開研究討論会

公開研究討論会は、税金や税理士についてのテーマを、公開されている場で議論するものです。議論に参加するだけではなく、会場やオンラインでその様子を閲覧できるようになっています。全国の税理士会が持ち回りで担当し、定期的に開催される討論会です。
討論会であるため、一般的な「研修」とは一線を画す内容だと考えましょう。提供される資料の形式や内容、当日の発言まで、研修とは意味合いが異なります。

税理士会以外が開催する研修例

認定研修

認定研修は、税理士会以外が開催する研修の中でも、受講時間として認められるものを指します。税金に関する研修であっても、税理士会によって事前に認定されていなければ、受講時間には含められません。
認定研修にはいくつかあり、例えば以下が挙げられます。

  • ● 大学、公的機関または関連学会が実施する研修
  • ● 大学など以外の民間の企業や団体が実施する研修
  • ● 民間団体のうち一定の要件を備えた「認定団体」が実施する研修
その他認められた研修

その他認められた研修とは、税理士が研修を受講してから「事後申請」するものを指します。上記で紹介してきた研修のように、事前に認められている研修ではなく、認められていない研修を申請する制度です。
例えば、大学や民間団体が税理士会の会員を想定して実施している研修には、認定を受けていないものがあります。このような研修に参加した場合、その事実を事後申請することで、後から認定される可能性があります。ただ、「認定研修審査会」と呼ばれるもので審査されるため、拒否されるかもしれません。

税理士が研修を受けないとどうなるのか

努力義務であり業務に直接的な影響はない

税理士は研修を受けるように義務づけられていますが、研修は努力義務です。もし、税理士が研修を受講していなくとも、何かしらの罰則が設けられているわけではありません。
そのため、極論を述べると、税理士が研修を受けていなくとも業務に直接的な影響はありません。「税理士業務を担当できない」などのペナルティはなく、研修を受けていない税理士も受けている税理士も、同じように業務ができます。とはいえ、税理士会の規則で義務付けられているため、そちらは遵守できていないと言わざるをえないでしょう。

研修の実績は公開されるため注意が必要

日本税理士会連合会が提供する、「税理士情報検索サイト」では、税理士が研修を受講しているかを確認できます。受講義務時間と受講実績時間が表示されるため、税理士の義務を果たしているかが一目瞭然です。
このように、研修の実績は公開されるため、受講していないと社会的な信用力を下げてしまう可能性があります。研修を受けないことのペナルティはないですが、実績を確認されることによる損失はあるかもしれません。

まとめ

税理士に求められている、研修の受講義務について解説しました。基本的には36時間の受講が義務付けられているため、認定研修を計画的に受講しなければなりません。現在は、オンラインでの研修受講も可能となり、ハードルは大きく下がっています。
ただ、研修を受講しなくともペナルティはなく、受講している税理士と同じように仕事ができます。そのため、意図的に受講しない人もいるかもしれません。受講しないことは個人の自由ですが、受講実績は税理士情報検索サイトにて公開されるため、その点は注意が必要です。

人材スカウト編集部
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