税理士や公認会計士の平均年収はいくらぐらいになるかご存じでしょうか。現状の年収が少ないと感じる場合は、現職で年収アップを目指すか、転職や独立開業などの手段でさらに収入アップを目指す、という方法もあります。本記事では、税理士や公認会計士の平均年収を提示し、年収アップの方法および、転職によって年収アップを目指す際のポイントについて解説します。
税理士と公認会計士の年収
税理士と公認会計士の平均年収はいくらぐらいか、全体の平均および年代別の平均年収について解説します。現状の年収が平均とどの程度かい離があるかどうかをまずは把握しましょう。
厚生労働省は、毎年さまざまな職種の賃金構造を調査しています。賃金構造基本統計調査(2020年版)によると、従業員数10人以上の企業に勤める税理士・公認会計士の平均年収は958万4,200円です。
ちなみに、全労働者の平均年収は487万2,900円。税理士・公認会計士の年収は、一般に比べてかなり高いと言えます。
企業規模10人以上 | |||||||||||||
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年齢 | 20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65~69歳 | 70歳以上 | ||
平均収入額 (万円) |
364.1 | 505.7 | 912.5 | 1009.4 | 1157.5 | 1106.9 | 813.0 | 755.4 | 415.7 | 681.3 | 323.4 |
企業規模1000人以上 | |||||||||||||
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年齢 | 20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65~69歳 | 70歳以上 | ||
平均収入額 (万円) |
- | 418.1 | 891.7 | 1150.8 | 1241.2 | 1231.0 | 1058.7 | 1324.6 | - | - | - |
※「令和2年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」より
平均年収の内訳は、毎月の給料は57万200円、年間賞与額は274万1,800円です。また、調査における税理士・公認会計士の平均年齢は40.3歳、平均勤続年数は10.6年となっています。
賃金構造基本統計調査(2020年版)によると、税理士法人や会計事務所などに勤務する税理士・公認会計士の平均年収は、40代が最も高く、1,100万円を超えています。続いて30代で900万円~1,000万円、50代で700万円~800万円という結果になっています。 全労働者の平均年収は、487万2,900円(平均年齢43.2歳)ですので、税理士は一般的な会社員よりも年収の水準は高いと言えるでしょう。
さらに、従業員1,000人以上の大手税理士法人に限ってみると、30代後半~50代にかけて平均年収は1,000万円を超えています。 税理士・公認会計士全体の平均年収(958万4,200円)と比較しても高い傾向にあると言えます。
一方で、本格的に働き始めて経験を積んでいる途中の20代~30代前半までの年代を見ると、税理士・公認会計士全体の平均年収よりも低くなっていることがわかります。 このように勤務している企業や年代によって税理士・公認会計士の年収には大きく開きがあると言えますので、就職・転職を含めたキャリアプランを考える際の参考にしてみてください。
税理士・公認会計士がさらに収入アップを目指したい場合、どのような方法があるでしょうか。主な方法として3パターンを紹介します。
現在勤めている税理士法人や会計事務所の規模が数十人規模の場合、現在の勤務先で昇進をして役職者になることで、給料アップを図ることができます。
従業員数が数十人程度の企業では、年収は700~800万円程度までは目指せます。管理職クラスになれば、年収1000万を超えている事務所もあります。
日本には、Big4と呼ばれる大手の監査法人があります。Big4の監査法人とは、EY新日本有限責任監査法人(EY)・有限責任あずさ監査法人(KPMG)・有限責任監査法人トーマツ(デロイト)・PwCあらた有限責任監査法人(PwC)の4企業を指します。税理士の場合は、大手の税理士法人や会計事務所で従業員数1,000人以上の所を探します。
大規模企業への就職が可能なら年収1,000万円も十分に望めます。事実、賃金構造基本統計調査(2020年版)によると、従業員数1,000人以上の企業に勤務している税理士・公認会計士の年収は1168万7,100円。全体平均に比べて210万2,900円もの差が出ます。
もちろん、大手企業にただ転職するだけではなく、勤務する中で昇格・昇進をして管理職になる必要はありますが、年収1000万を目指すことは可能です。
税理士や公認会計士として最低5年以上の経験を積んでいくと、独立開業も年収アップの方法として検討するのも良いでしょう。ただ、独立して稼いでいくには、新しく顧客を得るための自身の営業力や、これまでお付き合いしてきた企業と良好な関係を築くことが重要です。
経験を積む中で自分の営業力を磨き、独立後も関係を継続できる顧客が増えてきて独立後もやっていけるという自信が持てるようになれば、独立開業も視野に入れます。独立開業で成功すれば、年収1,000万円以上も夢ではありません。
顧客を確保する目途がつかないまま独立してしまうと逆に年収が大幅に下がる可能性もあります。独立開業のタイミングについては、顧客の確保を軸にして、慎重に見極めたいところです。
現在の勤務先では大幅な年収アップを望めないと感じる場合は、転職か独立開業かを検討することになります。しかし、安定した生活のままで年収アップを図るなら、転職をまず検討してみましょう。
転職による給料・年収アップを目指すためには、3点ほど考慮したいポイントがあります。
- ・働きながら転職活動を進める
- ・今より高い年収が期待できる企業に就職できるかを見極める
- ・専門の求人サイトや転職エージェントを活用
これらのポイントについて、以降で詳しく説明します。
現在お勤めの職場を辞めてしまってから転職活動をしていると、思ったよりも転職が長引き、生活基盤が不安定になる心配があります。仕事は忙しく大変ですが、働きながら転職活動を続けることが精神的にも経済的にも重要です。
転職先が決まってから現在お勤めの職場に退職の意向を伝える順番になるように転職活動を進めましょう。退職の意思を伝えるタイミングは、退職の2ヵ月前が理想です。
転職先は1日でも早く来てほしいと言われるかもしれません。しかし、現在お勤めの職場との兼ね合いでだいたい2ヵ月ぐらいを目途に入社の交渉をしておくことも忘れないようにしましょう。
転職活動をする上でこだわりたい点は、今より高い年収が期待できるかどうかです。税理士なら可能な限り大きな規模の税理士法人や会計事務所、公認会計士ならBig4の監査法人への就職を目指す、といった目標を定めて転職活動を進めましょう。
しかし、めぼしい企業の公式サイトを1つ1つ回って条件に合う企業を探すのは大変です。そこで、積極的に利用したいのが会計業界を専門に扱う求人サイトや転職エージェントです。
会計業界の求人サイトや転職エージェントは、いずれも税理士や公認会計士がより効率的に転職できるようにサポートしてくれるサービスです。
会計業界専門の求人サイトや大手求人サイトにいろいろ登録してみて、さまざまな企業の募集内容を確認しましょう。多くの募集内容を見ていく中で、現在の会計業界における求人内容に出されている年収の相場観が分かるようになります。
転職エージェントは、自分の要望を伝えることで、その要望に近い求人を紹介してもらえる点が大きな魅力です。特に仕事が忙しくてなかなか転職先を探せない人には便利でしょう。
転職エージェントには、会計業界特化型と総合型の2種類があります。会計業界特化型の転職エージェントは、きめ細かい転職サポートが魅力。業界を問わない大手の転職エージェントは、紹介してもらえる求人数の多さが特徴です。
転職エージェントも両方のタイプに登録して、自分に合うと感じられる相性の良いエージェントを見つけましょう。より多い選択肢を持つことが、満足度の高い転職を決めるポイントです。
税理士や公認会計士の平均年収は、一般に比べてかなり高水準で900万円弱です。しかし、通常の規模である数十人程度の税理士法人や会計事務所の場合、年収1,000万円以上を目指せる求人は多くありません。
安定した生活を維持しながら更なる年収アップを目指すなら、働きながら効率的に転職活動をすることが近道です。転職活動には求人サイトや転職エージェントを利用することも検討しましょう。
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税理士や公認会計士でより高い年収を求めて転職をする方は、ぜひ人材スカウトへの登録もご検討ください。